安彦良和「機動戦士ガンダム」40周年で語る面白さとは?
「機動戦士ガンダム」が1979年にテレビに放映されて40年が経ちましたね。
いまだに続編が制作され人気の衰えを知りません。
今回は「ファーストガンダム」のキャラクターデザインを担当した安彦良和さんが、6月28日付けの地方紙「北海道新聞」のインタビュー記事を元にガンダムの面白さについて調べてみました。
安彦良和さん「機動戦士ガンダム」の面白さについて語る!
今年でガンダム40周年ということで様々なイベントが企画され人気がますます高まるアニメ作品です。
個々の作品に様々な年代のファンや思い入れがあり、これだけ同じタイトルで続編が作られているアニメ作品はありませんね。
その人気秘密は何か?
安彦良和さんがインタビューで語ったことは「分かりずらい。だけどそれが面白い」と言っています。
私も「機動戦士ガンダム」を初めて観たのは小学生の時で、その当時は内容よりモビルスーツ同士の戦闘シーンを楽しんで観ていた記憶があります。
大人になってレンタルビデオ店で「機動戦士ガンダム」を見つけて、懐かしさのあまり借りて観直したら、やっとこんな内容だったんだ~と気付きましたね。
確かに「機動戦士ガンダム」の内容は子供には分かりずらく、理解して観ている子供がいたら天才?と思ってしまいます。
当時のロボットアニメ作品と「機動戦士ガンダム」の決定的に違うところは「勧善懲悪」でない所。
安彦良和さんは「さんざんそういう勧善懲悪をやってきたからいいんじゃないか。富野由悠季も僕もあまのじゃくだから。四の五の言わずこれでいこう、と」。
だから「機動戦士ガンダム」は完全な善も悪も提示されていないのですね~
また主人公のアムロを描くのにはこれまでのヒーロー像とは全く違い「正義感が強いとか、友達がいっぱいでみんなに愛されているとか、そういう要素をことごとく外している」。
最初のアムロは機械いじりの好きな少年で、大人の戦争に巻き込まれて仕方なく?ガンダムに乗り戦闘にかりだされ、時には反発しながらも成長していく姿はこれまでのアニメ作品はなかったですね。
アムロの置かれている立場はある意味、自分と重なる場面もあり大人になってみると「そうだよなぁ」と思うシーンがあります。
特にブライト艦長に殴られるシーンとか。
このようにこれまでアニメ作品とは全く違う概念で作られた「機動戦士ガンダム」。
様々な続編がある中で人気ナンバーワンの理由が分かります。
安彦良和さん ガンダム「THE ORIGIN」を描いた理由は?
安彦良和さんは「機動戦士ガンダム」以降はほとんど関わっていません。インタビューでは「僕はファーストシーズンでやりきった」と言っています。
ガンダムの世界に復帰した理由はファーストシーズンの漫画化の話があったから。
安彦良和さん自身は「なんで今ごろ」との思いがあったそうですが、「昔の作品なので作りが雑なことろ、舌っ足らずな部分もあった」とされ2001年に連載をスタート。
また連載をするにあたり、アムロに立ちふさがる敵役「シャア」を詳しく描く必要を感じたといいます。
安彦良和さんが描いた「シャア」はガンダム作品のキャラクターの中でも圧倒的な人気を誇り、その過程で「ニュータイプ」は覚醒した力で新世界を引っ張る存在=選民思想に近い解釈が広まり、
「こういう訳の分からないやつ(シャア)の思想形成や生い立ちをしっかり描かないと、誤ったメッセージを発してしまう」という危機感があったようですね。
「THE ORIGIN」で描かれているシャアは復讐心に燃えていますが、本当に根底にあったのは「母親の愛」が欲しかったのではないか?と私は考えます。
なぜなら「逆襲のシャア」の最後のシーンの台詞で「ララ・スーンは自分の母になる存在だった」と言っています。
やはり母親の存在というのは大きいものなのですね。
現在Amazon prime videoにて放映されているので「シャア」の過去に興味のある人はご覧になっては?
安彦良和さん現在連載中の作品は?
安彦良和さんは現在も漫画の連載をされていて、「乾(いぬい)と巽(たつみ)ーザバイカル戦記ー」を月刊誌「アフタヌーン」で執筆中です。
内容はロシア革命に端を発した日本軍のシベリア出兵。
安彦良和さんは北海道遠軽町出身なので、「ロシア革命という20世紀の一大事件に、旭川の師団(旧陸軍第七師団)が関わっていたのが不思議な気がする」と言っています。
この作品で「ほとんどの人がなぜそういうことが起きたのか知らない。いいことだとか、悪いとこだとか(問題は)そういうこのじゃない」と言い、善と悪に別れて物事を考えない姿勢は「機動戦士ガンダム」と共通する部分がありますね。
このように独特の視点で漫画を描き続ける安彦良和さん。
もう一度、「機動戦士ガンダム」を観てみては?